環境技術は、技術的側面のみならず社会システムに関わる問題であるため、現在さまざまな学協会、あるいは工業会がそれぞれに独自の活動を行っています。しかしながら,環境技術は、あらゆる製造技術、社会システム、ライフサイクル設計にまたがった学際的、産業横断的性格を持っており、日本独自の社会システムをベースにした循環型社会の実現、環境ビジネスとしての展開などのためには、関連の学協会、工業会が協力し、環境コンセプトと基盤技術の海外への発信を行う必要があると考えられます。
幸いにして、1999年2月1日〜3日に開催された国際シンポジウムEcoDesign’99は、多くの関連学協会・工業会のご協力を得、環境調和型製品設計に関するコンセプトと基盤技術に関する200編を超える講演と500人近い参加を国内外から得て盛会のうちに終了することができました。この成果は、海外でも大きな反響を呼び、わが国の環境技術をベースにした横断的な研究発表の国際的な場として、世界的にも認知されました。これを受けて、ヨーロッパでは、2000年9月ベルリンでEcoDesign国際会議が開催されることになっており、さらにわが国での次回開催を 2001年に予定しております。
またこれと並行して、日本学術会議生産システム学専門委員会では、エコデザイン、ライフサイクルエンジニアリングなどのコンセプトや、関連する環境技術の振興、および、海外への発信をより効率的に推進する方策について検討して参りました。
これらの活動成果を受け、関連学協会・工業会が横断的に提携し、それぞれの活動に関する情報交換を密接に行う場として「エコデザイン学会連合」を提案したく存じます。
「エコデザイン学会連合」の活動は、主にエコデザインに関する情報をメールなどにより交換するとともに、エコデザイン関連シンポジウムを共催、協賛するのための国内連絡会として位置付け、特に新たな組織の設立を目的とするものではありません。すなわちエコデザインに関する情報交換のためのネットワークとして機能することを目的としております。また、海外に対する窓口としては、IEEE Computer Society、Electronics and the Environments Committee日本委員会があたり、「エコデザイン学会連合」を主体として、当面EcoDesign2001の開催準備を進めて行く予定です。その際、エコデザイン学会連合加盟学会が独自のセッションを組むような方式も検討します。また、このような連携を国際的にも広め、International Union of EcoDesineersのようなネットワーク作りを目指す予定です。
なお、1999年12月には、通産省の後援によるイベント「エコプロダクト1999」との共催で、国内シンポジウム「エコデザイン’99ジャパンシンポジウム」が開催されることになっており、今後の活動についてもこれらエコプロダクト、インバースマニファクチャリングフォーラムなど国内関連事業との連携も図ってまいります。
貴会におかれましては、ぜひこの趣旨にご賛同下さいますようお願い申し上げます。(1999年10月13日)