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エコデザイン学会連合 宣言 (2001年4月)

レイチェル・カーソン博士が『沈黙の春』で地球環境に警鐘を鳴らして約40年、ローマクラブが地球資源の限界を悲観的に語って約30年が経ちました。この間、私たち人類は利便性や快適さを求めるあまり、彼らの警告に耳を貸さず、事の重大さから目を背け大量生産・大量消費・大量廃棄の持続可能な社会を営々と築いてきました。そして1990年代、私たちは、自らの行動が「人類史上初めて、将来の世代が地球上で生きていけるかどうかに影響を与えている」(ワールドウォッチ研究所『地球白書1999~2000』)というほどに切羽詰った状況にあることに気づき始め、やっと本気で地球環境問題が語られるようになりました。「環境破壊」の世紀から、「環境保全」の世紀へ。私たちの世代は、持続可能な社会を実現するために、パラダイムを大きく転換しなければならない重責を負うことになったのです。

とはいえ私たちは、環境保全のために経済活動を極端に減退させ、すでに獲得した豊かさや利便性を捨てられるのでしょうか?これは現実的には無理な注文でしょう。いま求められているのは、これまで相反する概念とされた経済と環境を両立させること、つまり資源エネルギー消費と環境への負荷を徹底的に減らしながら、なおかつ一定の経済成長を実現することなのです。そしてこの難題を解決するための手法、概念が「エコデザイン」です。エコデザインとは、原材料の採取から生産、使用、リサイクル、最終処分までのライフサイクルのすべての段階で環境効率を飛躍的に高めようとする設計・生産技術であり、エコデザインによる技術革新は、製造プロセスの改善、製品の最適化・再設計、製品機能・社会システムの一新という段階を経て持続可能社会の実現を目的とします。

ここで重要となるのは、エコデザインされた製品、システム、サービスが消費者、官庁、企業などから優先的に購入されること、つまりグリーン購入されることです。これにより企業活動はエコロジーへの明確なインセンティブを持ち始め、環境対策へのモチベーションを高めます。すでにOECD諸国を中心に「環境」をキーワードとした企業選別や格付けが始まり、グリーン購入のネットワークは急速な広がりを見せています。日本でも昨年、循環型社会形成推進基本法など6つの環境関連法が一気に成立し、2001年4月から施行されています。これにより国内のグリーン市場も相乗的に拡大することが見込まれています。環境に配慮していない製品やサービスはもはや市場競争力を持ち得ないという社会が、目の前に迫っているのです。

循環型社会の構築は、いまや人類共通の課題であり、切実な願いです。これに対するさまざまな障害を克服するためには、あらゆる社会活動を環境に調和するように設計しなおし、変革していかねばなりません。つまり、社会そのものにエコデザインが必要なのです。そのためには、各界各層にまたがった横断的な協調作業が不可欠となります。このような背景から2000年(平成12年)3月、日本学術会議のもと国内50余の学協会が連携し、エコデザインを学術面から推進する母体として「エコデザイン学会連合」が発足しました。もちろん、私たちの活動は国内にとどまらず、世界に向けたものとなります。なぜなら地球環境に国境などはなく、世界中の人々は国家のエゴを捨て「地球市民」として、かけがえのない地球を救うという共通の目標に進まねばならないからです。そして私たちの最大の使命は、エコデザインをキーワードに、これを学術的に力強くバックアップすることに他ならないのです。 (2001年4月)