国内、国際両エコデザインシンポジウムに代表される取り組みは、この十数年間で数多くの環境配慮製品の創出や各企業の環境配慮設計の改善等に貢献してきました。しかし、これまでの活動は決してゴールを迎えたわけではありません。現実の産業活動に、エコデザインが貢献できる場はまだまだある筈です。日本国内において人口が減少に転じ、地方経済の縮退が懸念されています。一方で、昨年の震災で明らかになったように、サプライチェーンの輪やエネルギー供給基地として地方の果たす役割が小さいわけではありません。地方(ローカル)と世界(グローバル)のより良い関係、有機的な連携が問われているのです。そのような現状に対して、エコデザインに何ができるか、常に考えてゆかなければならないという結論に、実行委員会の検討を通じて至っております。
エコデザイン2012ジャパンシンポジウムにおいては、エコデザインのさらなる普及発展のために、『エコデザイン、ローカルからグローバルへ』を中心テーマとし、これまで十数年に渡るエコデザインの蓄積を活かしつつ、産業ニーズに密着した企画セッションに力を入れる予定です。対立軸としてのローカルとグローバルでは無く、「地域密着型のシーズをいかにしてグローバルに展開して行くか」、「グローバルな産業がいかにしてローカルなニーズを吸い上げてゆくか」、「小規模の再生可能エネルギーに代表されるようなローカルな環境技術をいかにして広範にネットワーク化して行くか」などといった視点でローカルとグローバルとの関係を考えてゆきます。
エコデザインの活動の基盤やコンセプトが、もともと日本で成功している優れたエコデザインの取り組みを発掘し、国内外に発信するために、産業界とアカデミアの連携を行うことにあったことを鑑み、2010年開催のエコデザイン2010ジャパンシンポジウムに引き続き、多くの産業界の方々の視点を加えて企画を見直し、様々な産業分野での喫緊の課題に関する企画セッションを中心として開催することと致しました。しかし、その一方で、アカデミアから産業界への発信、産業界からアカデミアへの発信、両方の立場からエコデザインジャパンシンポジウムがエコデザインの世界への登竜門であることももちろんです。若手研究者の成果発表の場として一般セッションも広く募集いたしますし、その成果に期待するところ大です。
なお、エコデザイン2012ジャパンシンポジウムでは、先端的な学術研究ばかりでは無く、実用化技術の開発、製品開発研究、産業への適用事例など実用化に向けた取り組みにも焦点を当てて行く所存です。産業界からの広いご参加と事例のご紹介を期待しております。このような取り組みを通じて、環境配慮技術が着実に実用化され、多くの人々がサステナブルな世界の実現に貢献できるような社会の構築に努めてゆく所存です。奮ってのご参加をお待ちしております。